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「チェンジリング」を観た

「チェンジリング」公式サイト



クリント・イーストウッド監督の「チェンジリング」を観てきました。
内容は非常にシリアスで重厚ながら、
アンジェリーナ・ジョリーの演技に惹きつけられる映画でした。

主人公・クリスティンと息子のウォルターは母子家庭。
彼女が電話局でてきぱきと働く姿からは、
経済面で決して子供に苦労をかけまいとする強い愛情がうかがえる。

ある日の休日、ウォルターとの映画を観る約束が急な仕事で守れなくなってしまい、
クリスティンは仕事が終わると急いで帰宅するが、息子はどこにもいない。
近くの子供に尋ねても、近所を探し回っても見つからず、
襲ってくる不安を必死にこらえつつロス市警へ電話するクリスティン…しかし、
警察はむげに「行方不明から24時間以上経ってない」という理由で捜査を断る。

次の日、訪れた警官に事の経緯を説明するクリスティンだが、
それからもウォルターの手がかりは掴めない。
ひたすら息子の安否を願いながら、また、
どうしても予測される最悪の事態を振り払うように仕事に打ち込むクリスティン。

ウォルターの行方がわからなくなって五ヶ月が経過した頃、
クリスティンの元に、ロス市警が訪ねてくる。
「息子さんが見つかりましたよ」
一日千秋の思いで待ち焦がれていた知らせに、
不安で押し潰されそうになっていたクリスティンの頬を安堵の涙が…だが、
かけつけた駅で待っていた「ウォルター」は…。

とにかくアンジェリーナ・ジョリーの役柄というと、女戦士かワルというイメージだったのが、
観ている間はまったく想像できないくらいにひとりの母を演じきっていて、
アカデミー主演女優賞ノミネートも納得のコリンズ夫人役でした。

それにしても、今では考えられないくらいに杜撰も杜撰、
それどころか市民が自分たちに都合が悪いと判断すれば、
女性を平気で精神病院に放り込んだり、ろくに調べもせずに容疑者を射殺したりと、
事件当時の腐敗しきったロス市警の実態には恐れをなした。

特にジョーンズ警部とデイヴィス本部長の二人の酷さが際立っているせいで、
養鶏場で逮捕した少年からおぞましい事件を聞かされることになるヤバラ刑事などは、
本来ならば普通の対応なのだが、至極誠実な刑事に見えてくるほど。

そういう意味で、クリスティン・コリンズは二重の被害者なのだが、
どんな過酷な環境にも耐え抜く母の強さ、息子への切なる想い、
そして、法廷での毅然とした態度を見ていたら、
この日本で今も家族の帰りを信じている人々のことを思わずにはいられなかった。

俳優陣では他にも、クリスティンの「シャバ」での殆ど唯一の味方といえる存在、
ブリーグレブ牧師役のジョン・マルコヴィッチや、
狡猾に組織の失態を隠蔽し続けるジョーンズ警部役のジェフリー・ドノヴァン、
そして、立ち居振る舞いから猟奇的でいかにも悪党といったゴードン・ノースコットを演じた、
ジェイソン・バトラー・ハーナーという人の演技も素晴らしかった。

イーストウッド監督の映画はわかりやすくて、
しかも真正面から作っている映画が多いので好きです。
4月公開の「グラン・トリノ」も楽しみですね。


【参考】チェンジリング (ja.wikipedia.org)
【参考】ゴードン・ノースコット事件
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by bouquet_garni | 2009-03-16 00:45 | 映画、ドラマ | Comments(0)

「おくりびと」を観た

「おくりびと」公式サイト



WBCで日本が韓国と対戦している頃、「おくりびと」を観てました。
受賞から10日余り経ってもまだ混んでましたが、やっとこの作品に触れることができました。

感想としては、思っていた以上に完成度の高い映画だった…ということ。
時々クスッと笑わせる演出を交えつつ、納棺のシーンを非常に粛々と描いている。
納棺師という職業にスポットを当てた部分が特に話題になっているが、
作品中における家族の繋がりというテーマの比重もとても大きい。

何しろ、キャストが絶妙にはまっているな…と感じた。

本木雅弘演じる小林大悟は、人柄は穏やかで大人しめなチェロ奏者。
子供の頃に出て行った父親を恨んでいるが、度々その手で奏でている曲は?

広末涼子演じる小林美香は、夫に対して恋人気分の抜けない大悟の妻。
夫の仕事に強く反対し実家に帰ってしまうが…。

吉行和子演じる山下ツヤ子は、
大悟が故郷でよく通っていた銭湯を一人でやりくりしているおばさん。
とにかく働き者で、風呂屋をめぐって息子とはしょっちゅう喧嘩している様子。

山崎努演じるNKエージェントの佐々木社長は、どこか懐の深さを感じさせる男。
フグの白子やフライドチキンなど、
むさぼる度に呟く「うまいんだよな。困ったことに。」がとても印象的。
ちなみにこのセリフは山崎氏のアドリブとのこと。

余貴美子演じる百合子は、淡泊に仕事をこなしているようで、
実は社長を尊敬している。本当は優しい人かも?

笹野高史演じる平田は、ツヤ子が切り盛りする銭湯の常連のオヤジ。
散歩と詰め将棋が日課?この人のセリフも良い。

杉本哲太演じる山下は、役所で働く大悟の幼馴染。
美香同様、大悟が納棺師をしていることにだいぶ否定的。

峰岸徹演じる小林淑希は、大悟が幼い頃に家を出て行った父。
昔は大悟の母と喫茶店をやっていたらしい。

山田辰夫演じる男は、亡き妻の納棺の時間に遅れてきた社長と大悟に対して
「死人で飯食ってんだろ」となじるが、根は良い人。

中盤、大悟が川の傍でチェロを弾く姿と交互に、
様々なところで納棺をしていく大悟とその場に立ち会う家族の風景が描かれていて、
ああ、うちのおじいさんの時もこんな風だったっけ、などと思ったりしました。

そして…久石譲のテーマ曲が、映画のクライマックスに多大な貢献をしていました。

おくりびと より -on record-,-memory-,-ending- (320kbps) (nicovideo.jp)

最後の最後まで引っ張って引っ張って…おそらく観ている多くの人が願っていたであろう、
記憶のピントがぴったりと合った瞬間…その安らぎに満ちた音楽は流れていました。
観客のひとりとして、胸にこみ上げてくるものが。
峰岸徹さんが本作公開中に旅立たれたことも理由にあるかもしれません。

峰岸さんは生前、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたことを喜んでいて、
「まだクリアしなければいけない壁があるが、来年の授賞式には出たい」と、
病床でも英語のスピーチを練習していたそうです。
きっと受賞のニュースを知って、向こうであの笑顔で喜んでいる気がします。

心から良い映画だと思いました。
アカデミー賞を取れたのはタイミングも良かったのかもしれないけど、
これを企画したモックンは…本当に凄いですよ。


【参考】おくりびと (ja.wikipedia.org)
【参考】死を想う (ほぼ日刊イトイ新聞)
【参考】歴史を作った名作「おくりびと」~監督、キャストの喜びの声が到着! (RBB NAVi)
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by bouquet_garni | 2009-03-08 01:13 | 映画、ドラマ | Comments(0)

「少年メリケンサック」観てきた

「少年メリケンサック」公式サイト

「おくりびと」が記念すべきアカデミー外国語映画賞を受賞した週の最初の休日であり、
映画の日ということで1,000円で観られる日でもあった3月1日、
席に余裕のある「少年メリケンサック」を観た。

しかし、佐藤浩市の存在感は映画の幅を広げるなあ。
かつて自身のバンドのライブで食糞した事もある田口トモロヲ氏の、
時折覚醒したかと思えば再び混濁を繰り返す演技も素晴らしかったし、
いかにもロック少女な佇まいを表現した宮崎あおいも良かったけど、
仏頂面でプレシジョンをゴリゴリとかき鳴らす、
ハリネズミ頭の中年・作並秋夫にすっかり魅せられました。

映画の中での音楽を手掛けてるのは向井秀徳らしい。
エンドロールのBGMがユーミンの「守ってあげたい」のカバーというのも、
なんとも不可思議な取り合わせで絶妙。

鼻のひん曲がったピエール瀧になぜか「ビーバップ・ハイスクール」を思い出し、
故・筑紫哲也をパロッた風体の中村敦夫にも吹きました。

とにかく爽快感に溢れ、ユーモラスな轟音も響き渡る映画。
変な表現だけど、個人的にああいう風景ってほっとする。
ふと、パンクのライブって往年の新日本プロレスみたいだ…と思った。


少年メリケンサック (ja.wikipedia.org)
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by bouquet_garni | 2009-03-02 01:53 | 映画、ドラマ | Comments(0)


映画の感想など。


by bouquet_garni

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