「グラン・トリノ」を観た

映画『グラン・トリノ』オフィシャルサイト

──俺は迷っていた、人生の締め括り方を。
 少年は知らなかった、人生の始め方を。



先日は「バーン・アフター・リーディング」、
そして今日はクリント・イーストウッド監督・主演「グラン・トリノ」を観てきた。
深く、またどっしりとした重みのある作品でした。

朝鮮戦争から帰還し、フォードの自動車工場で50年勤め上げた頑固な爺さん、
ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)。

冒頭の最愛の妻の葬式では、孫の不作法さに
「ム゛ム゛ム゛ム゛ム゛…」
生と死について説く新米神父の言葉をよそに、
遺産の話や、残された父の面倒を誰がみるか、といった話をヒソヒソし続ける息子らに
「ム゛ム゛ム゛ム゛ム゛…」
ぶつくさと文句を垂れながら家へ帰る息子の車がトヨタなのを目にして、
「ム゛ム゛ム゛ム゛ム゛…」

ことあるごとに唸りまくっている。

そこへ、従兄のチンピラグループに仲間に入ることを強制され、
「テスト」と称してウォルトの愛車・'72年製のグラン・トリノの盗みを命じられる、
隣の家のモン族の少年、タオが現れる。

目当ての車の近くまで来たはいいが、
気づいてライフルを持って飛んできたウォルトにビビって逃げ出すタオ。
ウォルトに「トロ助」というあだ名をつけられてしまう。

ある日、隣家に現れた身内のチンピラに困っていたモン族の家族を目にしたウォルトが、
「芝生に入るな!今度入ってきたら命はないぞ」と凄んで追い返すという事件が起こる。

そのお礼として、モン族の人々から山のような花や御馳走を運ばれ、
困惑するウォルトだったが、
前後して、黒人の不良グループに絡まれていたタオの姉・スーを助けたこともあり、
ウォルトとモン族の人々の溝は徐々に埋まっていく…。

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中盤、冒頭からの経緯でウォルトがモン族の不良グループの一人を叩きのめす場面から、
徐々にストーリーがシリアスになっていきますが、
ウォルトがタオと出会う前の数少ない仲間である愛犬ディジーや、
彼と床屋のマーティンとのやり取りなど、ほのぼのしたり、思わず吹き出すシーンもあり、
ラストへ至る流れの深さがより際立っていた気がします。

タオの姉・スーの凛とした雰囲気、
若干ぽちゃっとした体型が可愛らしくもあり、清々しさもあり…、
この物語において一番重要なアクセントを与えるキャラとなっています。
煙草をスパスパ、ヘソにはピアス…という、
「クソガキ」ないで立ちのウォルトの孫娘と見事に対照的なのも面白いです。

仕事を与えられ、「男の会話」を知り、だんだん目に力強さを持ち始めるタオと共に、
最初は少し頼りなく見えるヤノヴィッチ神父の、
ストーリー進行に合わせて凛々しくなる表情も良い。

そして、クリント・イーストウッド…これを最後に監督業に専念する、という言葉通り、
凄い存在感を出してます…彼自身、
朝鮮戦争の時代に陸軍として召集された経験もあってなのか、
過去の戦争体験について言及するシーンの迫力は、何とも言葉にし難い説得力があった。


エンドロールが流れ、客電がついてもすぐに席を立つ人は皆無…。
非常に厳粛というか、ずしりとした余韻からしばらく抜け出せないという感じで、
場内は8割近く席が埋まってるとは思えないほど、
シーンと静まり返っていたのが印象的でした。

また、素晴らしい映画に出会うことができたなあ、、と静かに思いました。


【参考】脚本家ニック・シェンクのインタビュー (NIKKEI NET VARIETY JAPAN + PLUS)
【参考】グラン・トリノ - Wikipedia
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# by bouquet_garni | 2009-05-06 00:44 | 映画、ドラマ | Comments(0)

忌野清志郎 - (Sittin' on) The Dock of the Bay

忌野清志郎さん58歳、早すぎる死(VARIETY) - Yahoo!ニュース

いまだに信じられないけど、でも清志郎さんは旅立ってしまったんだなあ…。
愛してやまなかったというオーティス・レディングには会えたのかな、
なんて、そんなことを考えつつYouTubeでライブ動画を渡り歩いていたら、
'92年にブッカー・T.&ザ・M.G.'sとの共演を果たした時の映像を発見した。



普段はとても穏やかで、物静かな人だったとのこと。。
過激な歌も、静かな歌も、ノリノリな歌も、どれもこの人の声なくしては成立しない、
本当に唯一無二のシンガーでした…。

R.I.P.
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# by bouquet_garni | 2009-05-04 02:57 | YouTube | Comments(0)

「チェンジリング」を観た

「チェンジリング」公式サイト



クリント・イーストウッド監督の「チェンジリング」を観てきました。
内容は非常にシリアスで重厚ながら、
アンジェリーナ・ジョリーの演技に惹きつけられる映画でした。

主人公・クリスティンと息子のウォルターは母子家庭。
彼女が電話局でてきぱきと働く姿からは、
経済面で決して子供に苦労をかけまいとする強い愛情がうかがえる。

ある日の休日、ウォルターとの映画を観る約束が急な仕事で守れなくなってしまい、
クリスティンは仕事が終わると急いで帰宅するが、息子はどこにもいない。
近くの子供に尋ねても、近所を探し回っても見つからず、
襲ってくる不安を必死にこらえつつロス市警へ電話するクリスティン…しかし、
警察はむげに「行方不明から24時間以上経ってない」という理由で捜査を断る。

次の日、訪れた警官に事の経緯を説明するクリスティンだが、
それからもウォルターの手がかりは掴めない。
ひたすら息子の安否を願いながら、また、
どうしても予測される最悪の事態を振り払うように仕事に打ち込むクリスティン。

ウォルターの行方がわからなくなって五ヶ月が経過した頃、
クリスティンの元に、ロス市警が訪ねてくる。
「息子さんが見つかりましたよ」
一日千秋の思いで待ち焦がれていた知らせに、
不安で押し潰されそうになっていたクリスティンの頬を安堵の涙が…だが、
かけつけた駅で待っていた「ウォルター」は…。

とにかくアンジェリーナ・ジョリーの役柄というと、女戦士かワルというイメージだったのが、
観ている間はまったく想像できないくらいにひとりの母を演じきっていて、
アカデミー主演女優賞ノミネートも納得のコリンズ夫人役でした。

それにしても、今では考えられないくらいに杜撰も杜撰、
それどころか市民が自分たちに都合が悪いと判断すれば、
女性を平気で精神病院に放り込んだり、ろくに調べもせずに容疑者を射殺したりと、
事件当時の腐敗しきったロス市警の実態には恐れをなした。

特にジョーンズ警部とデイヴィス本部長の二人の酷さが際立っているせいで、
養鶏場で逮捕した少年からおぞましい事件を聞かされることになるヤバラ刑事などは、
本来ならば普通の対応なのだが、至極誠実な刑事に見えてくるほど。

そういう意味で、クリスティン・コリンズは二重の被害者なのだが、
どんな過酷な環境にも耐え抜く母の強さ、息子への切なる想い、
そして、法廷での毅然とした態度を見ていたら、
この日本で今も家族の帰りを信じている人々のことを思わずにはいられなかった。

俳優陣では他にも、クリスティンの「シャバ」での殆ど唯一の味方といえる存在、
ブリーグレブ牧師役のジョン・マルコヴィッチや、
狡猾に組織の失態を隠蔽し続けるジョーンズ警部役のジェフリー・ドノヴァン、
そして、立ち居振る舞いから猟奇的でいかにも悪党といったゴードン・ノースコットを演じた、
ジェイソン・バトラー・ハーナーという人の演技も素晴らしかった。

イーストウッド監督の映画はわかりやすくて、
しかも真正面から作っている映画が多いので好きです。
4月公開の「グラン・トリノ」も楽しみですね。


【参考】チェンジリング (ja.wikipedia.org)
【参考】ゴードン・ノースコット事件
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# by bouquet_garni | 2009-03-16 00:45 | 映画、ドラマ | Comments(0)


映画の感想など。


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